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到達不能基数 (inaccessible cardinal)、 もしくは強い到達不能基数 (strongly inaccessible cardinal) は順序数/基数で非可算正則強極限基数 (uncountable regular strong limit cardinal) である。最小の到達不可能基数は"the" inaccessible cardinal \(I\)と呼ばれることもある。

下がその定義である。到達不能基数\(\alpha\)は:

  • 非可算(uncountable): \(\alpha \geq \omega_1\).
  • 正則(regular): \(\alpha\) が正則であるとは、 \(\alpha\) がより小さい順序数の集合 \(S\)で表されないことを意味する。\(\alpha\) をより小さい集合のより小さい集合に分けることが出来ないともいえる。
  • 強極限(strong limit): \(\alpha\) が強極限であるとは、次の階層で定義されるベート数に対して\(\alpha = \beth_\gamma\)(\(\gamma\)は極限基数)である:
    • \(\beth_0 = \aleph_0\)
    • \(\beth_{\alpha + 1} = 2^{\beth_\alpha}\) (基数冪乗)
    • \(\beth_\alpha = \sup\{\beta < \alpha : \beth_\beta\}\)

もし「強い極限基数」を「極限基数」で置き換えたら(「ベート数」を「アレフ数」で置き換える)、弱い到達不能基数を得ることが出来る。強い物と弱い物との関係は、一般連続体仮説 (GCH) が偽であった場合のみある。もしそれが真であれば、すべての極限基数は強い極限基数である。

GCHの脇で、ZFC中では弱い到達不能基数も強いものも証明されていない。ZFCかつ「そこに弱い到達不能基数が存在する」ものは、無矛盾であると推測されている。しかし、Tarski–Grothendieck set theory はそれらの存在を証明できる。より強く言えば到達不能基数が非有界に存在することを示せて、また\(\mathsf{ZFC}\)に「到達不能基数が非有界に存在する」を公理として加えたものと同値であり、従って無矛盾同値でもある。

しばしば、最初の到達不能基数 \(I\)は大きな基数に対して閾値となると考えられる。それはつまり、\(I\)より大きな基数は大きく、そうでなければ小さいという事である。

到達不能基数が巨大数論に最も関連するのは、順序数崩壊関数である。

到達不能基数を用いた崩壊関数[]

以下\(\psi\)はイェーガー・ブーフホルツのψ関数など適当な到達不能基数を用いる順序数崩壊関数とし、\(I\)を最小の到達不能基数とする。 \(\alpha \mapsto \psi_I(\alpha)\)は\(\beta \mapsto \Omega_\beta\)の収束点を列挙できるため、\(\psi_I(0)\)はオメガ不動点、\(\psi_I(1)\)は二番目の不動点のようにオメガ不動点の数え上げと大体の部分で一致する。

\(I\)はまた、\(\Omega\)が普通の\(\psi\)関数の対角化成分であったように、\(\psi_I\)関数の対角化成分である。特に、\(\psi_I(I)\)は \(\alpha \mapsto \psi_I(\alpha)\) の最初の収束点である。

関連項目[]

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