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バイバインは、藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』に登場するひみつ道具の1つ。てんとう虫コミックス17巻に登場する。

概要[]

バイバインは瓶詰の液状薬品であり、任意の物体に1滴をかけると、5分ごとに2つの物体に分裂し増殖する効果を持つ。倍々に増える事やその増殖過程は細胞分裂をモチーフとしているかのように描写されている。食品である場合は消費すれば増殖が停止するらしい事が示されている。作中では栗饅頭を増やす事に使用したが、増殖スピードに対して消費が追い付かず、最終的には宇宙に廃棄するまでが描写されている。原作漫画や複数回テレビアニメで登場するたび、その後の描写やオチの細部が異なるが、最新の第2作第2期では、宇宙に廃棄しても増殖が進む様子が示唆されている。

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2の冪乗で数が増えていく倍々ゲームは、わずかな時間で巨大数が生み出される典型例として知られている。作中でも、1個の栗饅頭が1時間後には\(2^{12}=4096\)個、2時間後には\(2^{24}=16777216\)個、それから15分後には1億個を越す (\(2^{27}=134217728\)個) 事までが説明されている。作中ではドラえもんが「それこそ一日で地球がくりまんじゅうの底にうまってしまう。」と説明しのび太が恐怖する所までが描かれている。題材への考察が簡単な事からしばしば検証の対象となり、その仔細は異なるが、1日で地球が栗饅頭に埋まるというドラえもんの説明は過小評価であろうという結論で大方は一致する。

話を簡単にする為、栗饅頭の質量を100g、体積を100cm3とし、質量保存の法則や光速度不変の原理など諸問題は無視するとすると、バイバインで増殖した栗饅頭は、以下の道筋を辿る。

時間 個数 比較
7時間0分 \(1.93\times10^{25}\)個 地球の体積\(1.1\times10^{21}\text{m}^3\)を超える。
7時間10分 \(7.74\times10^{25}\)個 地球の質量\(6.0\times10^{24}\text{kg}\)を超える。
8時間40分 \(2.03\times10^{31}\)個 太陽の体積\(1.4\times10^{27}\text{m}^3\)及び質量\(2.0\times10^{30}\text{kg}\)を超える。
10時間55分 \(2.72\times10^{39}\)個 栗饅頭の球体の大きさがシュヴァルツシルト半径を下回る (後述) 。
14時間20分 \(5.99\times10^{51}\)個 直径1光年の球になる。
15時間0分 \(1.53\times10^{54}\)個 観測可能な宇宙の質量\(1.5\times10^{53}\text{kg}\)を超える。
23時間25分 \(3.89\times10^{84}\)個 観測可能な宇宙の体積\(3.6\times10^{80}\text{m}^{3}\)を超える。
24時間0分 \(4.97\times10^{86}\)個 「それこそ一日で地球がくりまんじゅうの底にうまってしまう。」

このように、1日で地球はおろか、観測可能な宇宙そのものが栗饅頭に埋まってしまう。

しかしながら、作中でも示唆されている通り、実際には栗饅頭が何らかの形で物理的変形をすれば、その部分の増殖が停止する、とも考えられる。栗饅頭の総質量が増えれば、自重や "栗饅頭星" 重力で中心付近は潰れてそれ以上増殖せず、表面付近のみが増殖し続けるとも考えられる。また、栗饅頭が潰れたり、栗饅頭同士の隙間の体積を考慮せず "栗饅頭星" が球体になると仮定すれば、10時間55分後には "栗饅頭星" のシュヴァルツシルト半径が "栗饅頭星" 自身の半径を下回る為、ブラックホールへと崩壊して増殖が停止すると考えられる。この "栗饅頭ブラックホール" の直径は\(8\times10^{11}\text{m}\)であり、火星の公転軌道を超え、木星の公転軌道の半分程度に達する。質量は\(2.7\times10^{38}\text{kg}=1.4\times10^{8}\text{M}_{\text{sun}}\)であり、銀河の中心部に存在する超大質量ブラックホールに匹敵する。いずれにしろ、宇宙はともかくも、地球は確実に滅びる事になる。

出典[]

  • 藤子・F・不二雄『ドラえもん』(17巻) (てんとう虫コミックス) 小学館 ISBN-13: 978-4091401076

関連項目[]

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