𥝱 (じょ) 、秭 (し) 、杼 (じょ) 、𥞑 (し) は、日本語の数の単位の1つである。通常、一𥝱で\(10^{24}=1000000000000000000000000\)を表す。
文献による違い[]
一般的に一𥝱\(=10^{24}\)として使用されているのは、現在の日本で使われている数の単位が『塵劫記』の1634年 (寛永11年) 版に基づいるためである。これは時代や文献によって異なる。
文献 | 著者 | 時代 | 方式 | 大きさ |
---|---|---|---|---|
礼記 | 戴聖 (編纂者) | 前漢 | 中数万万進 | \(10^{40}\) |
数術記遺 | 徐岳 | 2世紀頃 | 下数 | \(10^{9}\) |
中数万進 | \(10^{24}\) | |||
上数 | \(10^{128}\) | |||
算法統宗 | 程大位 | 1592年 | 中数万万進 | \(10^{40}\) |
塵劫記 | 吉田光由 | 初版 (1627年) | 下数 | \(10^{9}\) |
寛永8年版 (1631年) | 中数万進 | \(10^{24}\) | ||
寛永11年版 (1634年) | 中数万進 | \(10^{24}\) |
漢字表記[]
𥝱は漢字表記の単位で唯一表記が統一されていない。本来の字は「秭」であり、読みも「し」が正しかった。しかしながら『塵劫記』が1643年 (寛永20年版) から誤って秭を「𥝱」と表記し、旁から読みも「じょ」と表記された[1]。即ち、𥝱は原典には存在しない国字である。日本語の数の単位は塵劫記を根拠としていることから、現在の日本では秭よりも𥝱が使用されている現状がある[2]。また、秭の異体字である「𥞑」も時々使用された[1]。
しかしながら、「𥝱」はJIS X 0213 (1-89-39) とUnicode (U+25771) の文字コードに含まれているものの、追加漢字面であることから、環境によっては表示できない。このため、本来は誤用ではあるものの、似た字体であり追加漢字面ではない「杼」が代用として使用されることもある。この問題があるため、当項目名もひらがな表記としている。
馴染みの薄さの他、以上の理由もあってか、漢字表記で表現されるのは兆・京・垓のいずれかまでであり、初めてこの問題に直面する𥝱と、それより上は使用を避けられる傾向にある。
使用例[]
- SI接頭辞で現行最大であるヨタ (yotta・Y) は、1Yが1𥝱に等しい[3]。また、追加に関する議事録の中にロナ (ronna・R) があり、1Rは1000𥝱に等しい。2022年11月の追加議論対象である[4][5]。
- ショートスケールのOne-septillionは1𥝱に等しく、One-octillionは1000𥝱に等しい。
- 10番目のメルセンヌ素数は約619𥝱である。 (\(M_{89}=2^{89}-1=618970019642690137449562111\)) 。
- テルル128の半減期は約2𥝱2000垓年である。
- 地球の質量は約5𥝱9724垓kgである。
- 観測可能な宇宙の直径は約880𥝱mである[6]。
出典[]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 高杉親知. (Oct 2, 2002) "無量大数の彼方へ". 思索の遊び場.
- ↑ 雨粟潤. "数の名前について(第三版)". 雨粟莊.
- ↑ "The International System of Units (SI): Prefixes". Bureau international des poids et mesures.
- ↑ "Consultative Committee for Units (CCU) Report of the 24th meeting". (8-9 October 2019) Bureau International des Poids et Mesures.
- ↑ "Consultative Committee for Units (CCU) Report of the 25th meeting". (21-23 September 2021) Bureau International des Poids et Mesures.
- ↑ Itzhak Bars & John Terning. "Extra Dimensions in Space and Time". Springer, p27–. ISBN: 978-0-387-77637-8