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\(\varepsilon_0\) (読み方は"イプシロンゼロ"、"イプシロンヌル"、または"イプシロンノート")は小さな可算順序数の1つであり、関数 \(\textrm{On} \to \textrm{On}, \ \alpha \mapsto \omega^\alpha\) の最小の不動点と定義される。ただし \(\textrm{On}\) は順序数全体のクラスである。 \(\varepsilon_0\) は他にもいくつかの等価な方法で定義される:

  • カントール標準形では自身より小さい順序数のみを用いて表すことの出来ない最小の順序数。
  • ペアノ算術や \(\textrm{ACA}_0\) (算術的内包公理と呼ばれる2階算術の部分体系)の証明論的順序数。
  • 略式では \(\omega^{\omega^{\omega^{.^{.^.}}}}\)、\(\omega \uparrow\uparrow \omega\)、\(\omega \uparrow\uparrow\uparrow2\)、と表される。
  • 関数 \(\textrm{On} \to \textrm{On}, \ \alpha \mapsto 2^\alpha\) の \(2\) 番目の不動点。
  • BuchholzのΨ関数を用いて \(\psi_0(\Omega)\) と表される。
  • MadoreのΨ関数を用いて \(\psi(0)\) と表される。

また、ワイナー階層を用いると以下のように表せる:

  • \(f_{\varepsilon_0}(n) \approx X \uparrow\uparrow X \&\ n\) (急増加関数)
  • \(H_{\varepsilon_0}(n) \approx X \uparrow\uparrow X \&\ n\) (ハーディー階層)
  • \(g_{\varepsilon_0}(n) = n \uparrow\uparrow n = n \uparrow\uparrow\uparrow 2\) (緩成長階層)

\(f_{\varepsilon_0}(n)\) はグッドスタイン関数GoucherのT関数と同等の増大度を持つ。

より高層のイプシロン数とヴェブレン階層

指数関数 \(\textrm{On} \to \textrm{On}, \ \alpha \mapsto \omega^\alpha\) の不動点を数え上げる関数は \(\textrm{On} \to \textrm{On}, \ \alpha \mapsto \varepsilon_\alpha\) と書かれる。特に \(\varepsilon_1\) は指数関数の次の不動点である。すなわち

  • \(\varepsilon_0=\min\{\alpha \mid \alpha=\omega^\alpha\}=\sup\{0,1,\omega, \omega^\omega, \omega^{\omega^\omega},...\}\)
  • \(\varepsilon_{\alpha+1}=\min\{\beta \mid \beta=\omega^\beta\wedge\beta>\varepsilon_\alpha\}=\sup\{\varepsilon_\alpha+1,\omega^{\varepsilon_\alpha+1}, \omega^{\omega^{\varepsilon_\alpha+1}},...\}\)
  • \(\varepsilon_{\alpha}=\sup\{\varepsilon_{\beta} \mid \beta<\alpha\}\) (\(\alpha\) が極限順序数のとき)

この定義によって、イプシロン数には次の基本列が定まる:

  • \(\alpha=\varepsilon_0\) のとき \(\alpha[0]=0\), \(\alpha[n+1]=\omega^{\alpha[n]}\)
  • \(\alpha=\varepsilon_{\beta+1}\) のとき \(\alpha[0]=\varepsilon_\beta+1\), \(\alpha[n+1]=\omega^{\alpha[n]}\)
  • \(\alpha=\varepsilon_{\beta}\) かつ \(\beta\) が基本列\((\beta[n])_{n < \omega}\)の定義された極限順序数のとき \(\alpha[n]=\varepsilon_{\beta[n]}\)

関数 \(\textrm{On} \to \textrm{On}, \ \alpha \mapsto \varepsilon_\alpha\) の最小の不動点は \(\zeta_0\)(ゼータゼロ)やカントールの順序数と呼ばれ、関数 \(\textrm{On} \to \textrm{On}, \ \alpha \mapsto \varepsilon_\alpha\) の不動点を数え上げる関数は \(\textrm{On} \to \textrm{On}, \ \alpha \mapsto \zeta_\alpha\) と書かれる。なお、\(\zeta_0\) は \(\eta_0\) と書かれることもある。

ギリシア文字は無限にないので、ヴェブレン階層という階層を用いてこの構成を一般化する。この階層の関数は、それ以前の関数たちの不動点を数え上げる。すなわち:

  • \(\phi_0(\alpha) = \omega^\alpha\)
  • \(\phi_\beta(\alpha)\) は任意の \(\gamma < \beta\) に対して \(\phi_\gamma\) の不動点をなすような順序数全体の中で \(1+\alpha\) 番目に小さいもの

2変数ヴェブレン階層で表せない最小の順序数がΓ₀である。